傾向
2017年5月14日livedoor NEWSにミュージカル『テニスの王子様』の舞台プロデューサーを務めた片岡氏のインタビュー記事が掲載された。記事中においては「原作を超えるものはできない。けれど、原作に恥じないものを作ろう」という意識が語られていた。
では、ファンも原作を原点としてテニプリを楽しんでいるのか、というと実は皆が皆そういう訳ではない。
テニプリファンの中には、原作を読んだことのないファンも一定数存在する。
「声優がきっかけでアニメから観始めた。」
「ミュージカルしか観たことがない。」
という層は少なくない。
そして、アニメとミュージカルは原作漫画をそれぞれの媒体にするにあたり、脚色やストーリー変更が行われている。アニメについては、オリジナルストーリーも多々存在するほどである。
原作者が実際に描いているのは漫画(原作)のみであり、"人生への圧倒的肯定"という大きなテーマは変わらないものの、そこにたどり着くまでのストーリーや描き方は漫画・アニメ・ミュージカルでは異なっているのである。
つまり、一口にテニスの王子様のファンと言っても共有しているストーリーの詳細が一致しないのだ。
その不一致に伴い、テニプリファンの間でも公式3媒体への重要度が個々人によって違いがある。
その趣味嗜好の傾向は、まるで、仏教やキリスト教などの創唱宗教における宗派のように。
具体的には、原作原理主義、アニメ派、テニミュ派、原作者信仰型、公式信仰型、同人否定(肯定)派、リベラル派、など公式3媒体の重要度以外の要素も加わってテニプリを楽しむ傾向分けができるだろう。(ちなみに、私(筆者)は原作至上主義の原理主義です。)
と、ファンの傾向は色々とあれど、公式もとい原作者より順位づけのない公式媒体として公言された今、どの媒体に重きを置いて楽しむのかどうかは、ほぼ完全に私事化されていると言えるだろう。
また、趣味嗜好の傾向の宗派分けを、創唱宗教的な見方ではなく、テニスの王子様を自然宗教的な対象と捉えると、宗派の分け方も変わり、キャラクター信仰となる。すると、学校、キャラクター別の宗派となるのだが、この場合、組み合わせが無限大になってしまい、宗派というには些か細かすぎるように感じる。という観点も付け加えておきたい。