超解釈テニスの王子様  人生哲学としてのテニプリ(namimashimashiのブログ)

人生への圧倒的肯定を描き出す『テニスの王子様』と、その続編『新テニスの王子様』についての個人的な考察を綴ります。 出版社および原作者など全ての公式とは一切の関係はありません。全ては一読者の勝手で個人的な趣味嗜好です。 Twitterアカウント:@namimashimashi

『テニスの王子様』と『新テニスの王子様』との関係性_完結による世界の安定性

1999年7月、週刊少年ジャンプで連載が始まり、翌2000年1月に『テニスの王子様』第1巻が発売された。その後、連載は続き、2008年3月に全379話で完結した。単行本は2008年6月に発売された42巻が最終巻となり、公式ファンブック10.5巻、20.5巻、40.5巻を含む全45巻が刊行された。(30.5巻はイラスト集。)

現在、原作漫画は『新テニスの王子様』となり、2009年4月から月刊ジャンプSQで連載が続いている。2017年12月には22巻の単行本が刊行された。

 

このことから分かるように、というよりは、周知の通り、『テニスの王子様』は一度完結している話なのである。

この"一度は完結している"、ということがテニスの王子様に揺るぎなさをもたらしている。原作漫画が原作として完結を迎えることで、原作世界は不変の絶対性を獲得した。

つまり、今後どのようなことがあっても、『テニスの王子様』は不変であり続ける。揺るがない物語としてこの世に存在し続けることになった。

これはある種の安定性が原作漫画世界に備わったことになる。

すなわち、読者は、安定した拠り所として、全45巻の『テニスの王子様』を読み、解釈し、楽しむことができる。

この完結した絶対世界であるという点こそ、テニプリが信じるに足りる世界である、といえる重要なポイントなのだ。

 

その一方で、テニプリは一度終わりを迎え、『新テニスの王子様』としてまた新しく始まった。

略称であるテニプリの元になっている英題は、『テニスの王子様』がTHE PRINCE OF TENNISで、『新テニスの王子様』がTHE PRINCE OF TENNIS Ⅱだ。原作者も明言している通り、新テニスの王子様は正しくテニスの王子様の続編である。そして、今なお連載中だ。つまり、読者にとっては、ストーリーは不確定で、未知の世界が待っている状態である。

 

この完結し完成された世界『テニスの王子様』の安定性と、連載でこれから何が起こるかわからないドキドキ感を残す『新テニスの王子様』世界とが両方存在することで、テニプリは、安定が必要な信仰と期待感のエンターテインメントを両立させているのだ。