人生に寄り添う存在としての王子様達
テニプリキャラクター、ストーリーは読者の人生に寄り添う/隣を歩いてくれる存在である。
そんな人生に寄り添うテニプリは、読者自身の人生ステージが変わると、好きなキャラクターやストーリーの読み方が変わることがある。
長年テニプリ読者(アニメ視聴者、ミュージカル観劇者)を続けていると、約20年間、テニプリに親しんでいることになる。
20年間というと、小学生は30歳前後(アラサー)になり、高校生は40歳目前となる歳月だ。
これだけの時が経つと、読者の人生ステージにも変化が訪れており、直面している悩みや困難、心が動く要素にも変化が生じている部分があるだろう。
テニプリは、そのキャラクター数の多さから、"必ず好きになるキャラクターが見つかる"と言われるほど、読者その人それぞれのパーソナリティーに合うキャラクター居る可能性が高い。
人間のパーソナリティーというのは、人それぞれの多様性の他、一人の人が年齢を重ねて変化する一人の人間のパーソナリティーの多様性もある(もちろん、一人の人のパーソナリティーに関しては年月を経てもずっと変わらない部分もある)。
年齢を重ね、幼かった/若かった頃の課題を乗り越え、その頃にはシンパシーを感じていた事や物は、過去の物となり懐かしさの対象となり、リアルな共感ではなくなることもある。
そんな時でもテニプリは、現実の息遣いを感じるほど詳細に設定が授けられている数多のキャラクターがそれぞれの人生を生き、その瞬間が描かれているため、読者自身が年齢を重ねて変わった感覚を持ってテニプリに触れると、幼かった/若かった頃とは違うキャラクターに魅力を感じることができるのだ。
このテニプリにおける"好きな/共感を覚えるキャラクターが変わる"という現象は、人生の年月が過ぎるだけで起こることでもない。
実は「テニミュは観る度に好きなキャラクターが変化する」と言われることがある。
これは、ミュージカルでは、生身の人間のエネルギーを発する役者によって、より強くそれぞれの王子様のパワーが伝わってくるため、観劇したその時々の心境が影響するからではないかと考えられる。
また、この人生ステージや心境によっての好き/共感キャラクターの変化は、いわゆる"キャラクター漫画"と呼ばれる『テニスの王子様』『新テニスの王子様』においては、原作漫画の読み方や解釈の変化にも直結している。
テニプリは年齢を重ねても面白いのだ。
時の流れが存在する生の人の人生に添う物語。まさしく人生に寄り添う存在である。